グラノロの世界

乾燥工程

乾燥工程と乾燥温度がパスタの品質を左右する理由

パスタの製造工程の中で最も重要なのは乾燥工程だといわれるくらい、乾燥工程というのはデリケートな部分です。成形されたパスタは水分を多く含みますが、乾燥工程では、これを法律で定められた12.5%以下まで下げなければなりません。

良質のパスタを製造するためには、一定で均質に水分を蒸発させる方法で乾燥が行われなければなりません。

マストロマウロ家の方針としてグラノロでは高温・超高温乾燥ではなく中温乾燥を行っていますが、この方法によって、デュラムセモリナ粉の栄養素や食感特性、つまり味や色合いを損なうことなく逆に高められ、製造工程終了時には、一つ一つのパスタに閉じ込めたまま残すことができるのです。

逆に高温・超高温乾燥すると、セモリナ粉に含まれるアミド質がゼラチン化してパスタの外側表面が固くなってしまい、色も悪くなるし、リジンなどの栄養素が損なわれて消化も悪くなります。

良質のパスタ製造のため、グラノロでは一定で均質に水分を蒸発させるような乾燥方法が用いられています。

多くの製麺会社が高温・超高温乾燥を選ぶ理由

高温・超高温乾燥を行ったパスタは表面的に良質に見えます。

事実、高温乾燥を行えば、グルテン(パスタの弾力性やコシの強さを左右する、デュラム小麦が含む重要なたんぱく質)が少なく品質の劣るセモリナ粉を使った

パスタでも、口に入れて噛むとまるで“アルデンテ”のように感じられます。しかし実際にはそれはパスタの内部がまだ生煮えだからで、良質なパスタの弾力性とは全く別物で、当然消化も悪くなります。

さらに、高温乾燥はパスタをプラスチック化してしまい、デュラム小麦独特の酸発酵の香りや風味が失われてしまいます。

良質パスタのもう一つの特性は消化の良さで、それは咀嚼中や消化中に体内の消化器官で作られる酵素の働きによるものですが、高温乾燥で製造されたパスタではこの酵素の働きが減ったり全くなくなったりします。

グラノロがあえて中温乾燥を選ぶのはつまり、それが触感の点からも物理化学的にもパスタの品質を大きく左右すると考えるからなのです。

一般的に、イタリア国内・国外の多くのメーカーでは超高温乾燥が採用されていますが、それは次のような利点があるからです。

時間が削減できる:製麺メーカーの中には、上述のように品質は犠牲にして、50%以上も製造工程にかかる時間を削減しているところがあります。
高温乾燥をすると表面がゼラチン化して、茹ですぎても柔らかくなりすぎないので、品質の悪いセモリナ粉を使用してコストが削減できる。
パスタの茹で時間が長くなるが、しばしば“アルデンテ”だと消費者に思わせることができる。

ミラノ大学のレスミーニ教授が1998年10月25日付けGazzetta del Mezzogiorno紙に発表した記事によると、高温乾燥したいわゆる“テクノロジー・パスタ”は、茹ですぎになることはありませんが栄養は少ないそうです。また、今日では100℃を超える高温で乾燥させるメーカーもあるが、高温乾燥にルールを作るべきだと教授は警告しています。さらに、パスタを高温乾燥させると、アミノ酸リジンの約40%が失われてしまいます。アミノ酸リジンとは、人間の体では生産できず、摂取する食品から入手するしかない、とても大切な成分なのです。教授はまた、茹ですぎのパスタは消化に悪いとも述べています。